魔法の柄。
自分のファッション史を振り返るとあまり柄物を着ていない私。
今こそ着るようになってきたけど37歳くらいまでは無地かボーダーでギリギリ。
ベーシックが一番じゃない?とか時代もあってそんな方向性。
でもベーシックが故に決まったスタイルが誰かの真似で嘘のような服装観がまた自分の中で納得できず、迷走。
特に柄物は可愛らしすぎるものが多いし、アーティスティックなものは主張しすぎで飽きが早い。
仕事で柄物を製作することは多かったけど、なんだか、そのシーズンのテーマをあらわしやすいから、なんとなく取り組むことも多くて本当に好きとか、自分が着たいとか考えていたのか今となっては“?”である。
そんなこんなで、好きな柄なんて、あるのかしら…なんて意識にも上がらず過ごしていた。
でも、あった。
なんとなく、とても自然に。
それは突然浮上。
インドで、見つけた。再発見と言えるかも。
首都のデリーから南西にあるジャイプルという街は、ラージャスタン州の州都。
別名ピンクシティと言われる、ピンク色の城壁に囲まれ、ピンク色の宮殿や建物が集まった旧市街が広がる古都。
ピンクシティの象徴のひとつ、ハワ マハル(風の宮殿)。
このような色のグラデーションが街のカラー。
中心から外れた場所にサンガネールという地域がある。
道はガタガタとし、平家の工房が点在する。
工房では、ハンドブロックプリントの布地がつくられている。
サンガネールは、この手仕事が盛んな場所のひとつ。
ブロックを打っては乾かしていく。
1色毎に乾かさないといけないので、大変な手間がかかる。
乾かすのに、乾季で最低3日は干すそう。雨季だと1週間以上。
ハンドブロックプリントは歴史が長く、日本の着物でも木版更紗として取り入れられ親しまれてきた。
こちらはプレイスマットを製作中。
インドはインテリアのものも多く制作している。欧州の方々のお土産とかになっているのかも。
もう日本人の記憶として馴染み深く、日常に浸透しているのだと思う。
ブロック、木片はチャパイと現地では言われるようで、耐久性があり伸縮の少ないチークやシーシャム(ローズウッド)が使われる。家具でもお馴染みで、まあまあ重いやつ。
このような木片をつなげて柄にしていく。
消しゴムハンコの木片版みたいな感じ、というと伝わりやすい?
これに柄を写したものにタガネを使って、かなり深く掘り込む。
このあたりでもう職人技。
ちなみに、街のお土産屋さんで見るものは観光客用で、機械で彫られたものも多く、布地にプリントするには向かない。柄のみで浮き立たせようとしても浮き出てこない。
技術的なこと、工程などを話しだすとキリがないが、全てが魅力的。
これは自分が専門職だからなのだろうか…
このような背景について知り、興味が深くなって、ハンドブロックプリントは私をグイグイと虜にしていった。
日常と違う世界観が、よりそれを加速していく。
ホテルの一角。
柄の宝庫である。
旧市街のバザール。風習に沿ったものが並ぶ。色合いに惹かれる。
Jaipurの街並みって、本当に素敵で。
色合い、柄、組み合わせ。
日本にはない、まさに異国の風景。
インドの街の情報はまだまだ日本には少ないから、行くたびに発見があり、自分にとってはデザインのインスピレーションの源になる。
柄そのものというよりは、この異国で感じる空気感を布に映している。
…気がする。
柄が好きになってきているけれども、自分で納得できるものというのは多いわけではない。
好きなものはシンプルなものが多く、例えばストライプ。
単純だし、馴染み深い柄。
幅や色合い、その手法。それぞれを分解してまた再構築。
アブラカタブラ、魔法のエッセンスはインド。
あと考えることは、私自身を喜ばせることはできるかな。
そんなこんなで出来上がったものがこちら。
派手。
テンションが高い。
そうかも。
少し落ち着いたものもつくってみたが、どちらかというと派手なものが気分。
つくった当時、自分は好きだけれど、色合いも独特すぎて同じ気分になってくれる人はいるだろうか?と心配になった。
幸い、好きな人もいてくれた。
こういう時、気分が伝わったと感じて気持ちが満ち足りる。嬉しい。
一緒に旅をしてくれてありがとうという感謝を感じる。
そう、気分を共有したい。
受け取ってくださったあなたも、私も、新しい気分を旅する魔法の柄、ハンドブロックプリントで自分の変化を冒険できたらと思う。
明日への挑戦につづく…。
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muni*展示会のお知らせ
清秋の候、大岡山の岡のさんで新作のお披露目をいたします。
到着を待っているインドの秋物と、日本で製作した小さなアイテムをお持ちする予定です。
インドの旅のお話も色々できたらと思いますので、遊びにいらしてくださいね。
10.25(fri)- 27(sun)
muni* の服
at 岡の (東京 大岡山)
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