「ディーヴァ」、世界を巡り、東京へ。歌声が紡いだ200年の物語

「ディーヴァ」、世界を巡り、東京へ。歌声が紡いだ200年の物語

ひとつの歌声が、人々の心を動かし、社会の風景を変えることがある。

19世紀のオペラ歌手から、ハリウッド黄金期のスター、現代のポップアイコンまで。「ディーヴァ」と呼ばれてきた表現者たちは、類まれな才能と存在感によって観客を魅了すると同時に、時代が定めた女性像や、性、人種をめぐる境界にも挑み続けてきた。

そんなディーヴァの歴史を、19世紀から現代まで約200年にわたってたどる展覧会「DIVA」が、東京にやってくる。英国が誇るヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)が手がけた本展は、アジアで唯一、そして世界巡回の掉尾を飾る舞台に東京を選んだ。会場は、国立新美術館。会期は2027年3月24日から7月19日まで。

マリア・カラスの気高い佇まい、マリリン・モンローの儚さ、レディー・ガガの反逆、ビョークの静謐なる詩情。時代も国境も超え、その声と存在そのもので世界を魅了してきた約100名のディーヴァたちの軌跡を、約280点の貴重な衣装と資料でたどる、かつてない規模の回顧展だ。

 

 

本展の大きな見どころは、約280点におよぶ衣装や資料。

なかでも注目したいのが、マリア・カラス、マリリン・モンロー、アデル、レディー・ガガ、エルトン・ジョン、リアーナ、ビョークらが身につけた伝説のステージ衣装、約60点。スターが舞台で一度だけまとったドレス。その人のイメージを決定づけた、あまりにも有名なスタイル。V&Aの至宝に、個人が秘蔵してきた逸品を加え、写真、映像、ポスター、LPと共に、彼女たちの神話を紡ぎ直す。日本展限定の展示も見逃せない。


華やかな衣装や音楽の背後にあるのは、社会の大きな変化だ。男性中心の価値観が支配していた時代に、女性やクィアの表現者たちは、どのようにして自らの声を獲得していったのか。
本展では、時代ごとに姿を変えてきたディーヴァという存在を、フェミニズムやジェンダーの視点から捉え直す。
ディーヴァとは、単なる歌姫を意味する言葉ではない。それは、自分自身の存在と表現を武器に、社会の常識を書き換えてきた人々の物語でもある。


サラ・ベルナール、「ジャンヌ・ダルク」のポスター | © Victoria and Albert Museum, London

 

展示は大きく2つの章で構成される。

第1幕|ディーヴァの誕生

アデリーナ・パッティ、サラ・ベルナール、イサドラ・ダンカン、マレーネ・ディートリッヒ、ジュディ・ガーランド、マリア・カラス、マリリン・モンロー、エリザベス・テイラー...。

オペラの黄金時代からハリウッドの黄金期、そしてその黄昏へ。圧倒的な歌声や美貌、個性、そしてスター性を武器に、女性たちが「ディーヴァ」という神話を築いていった時代をたどる。


第2幕|ディーヴァの再生・復活

ニーナ・シモン、アレサ・フランクリン、ドリー・パートン、グレイス・ジョーンズ、マドンナ、ホイットニー・ヒューストン、ビョーク、ビヨンセ、レディー・ガガ、リアーナ、アデル、ビリー・アイリッシュ...。

第2波フェミニズム以降、ディーヴァの意味は大きく変わっていく。社会から与えられた役割を演じるのではなく、自らの声と身体、ファッション、音楽を通して「自分は何者なのか」を表現する。自由を求め、既成概念を打ち破り、ときに社会そのものに問いを投げかけてきた表現者たち。

その系譜は、現代のポップ・カルチャーへと確かにつながっている。


『椿姫』でヴィオレッタ役を演じるマリア・カラス(1958 年) Houston Rogers © Victoria and Albert Museum, London


ドルリー・レーン王立劇場(ロンドン)のステージに立つグレイス・ジョーンズ(1981年10月10日) Photograph © David Corio


華やかなステージ衣装、時代を象徴する歌声、そして社会を揺り動かした強烈な個性。

「ディーヴァ」は、スターたちの歴史を振り返るだけの展覧会ではない。彼女たちはなぜ、これほどまでに人々を惹きつけるのか。そして、自分自身の声を持つことは、社会をどう変えてきたのか。

200年にわたるディーヴァの物語、その世界巡回のフィナーレが、ここ東京で幕を開ける。


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INFORMATION

ディーヴァ|DIVA

会期:2027年3月24日(水)~7月19日(月・祝)
会場:国立新美術館 企画展示室2E
住所:東京都港区六本木7-22-2
公式サイト:diva2027.jp

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