Vol.3 ミラノ デザインウィーク 2026 レポートノート - 12枚のタペストリーが紡ぐ、グッチ 105年の軌跡
【イタリアでグッと来た、暮らしをハッピーに彩るコトやモノ】 Vol.3 イタリアに息づく、日常の何気ない瞬間を楽しむというライフスタイルから、特別なことではないけれど日々を少しハッピーに彩るコトやモノをご紹介している連載のVol.3では、ミラノで開催された「ミラノ デザインウィーク」のレポートです。会期はすでに終了していますが、イタリアで心を動かされた出来事として、アーカイブとして綴ります。 「最後の晩餐」のあるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会 ミラノがデザインとアートで包まれる 4月のイタリアは、太陽の光がいっそう眩しく、街全体がワントーン明るく感じられる季節。今年はちょうど良いタイミングが重なり、4月21日から始まったミラノ デザインウィークを訪れることができました。 「ミラノ デザインウィーク」は、毎年4月にミラノで開かれる世界最大級のデザインの祭典です。ミラノ郊外の見本市会場で行われる「サローネ・デル・モービレ(ミラノサローネ)」と、市内各所で展開される「フォーリサローネ」の2つで構成され、期間中は街全体がデザイン一色に染まります。 展示の対象は家具にとどまらず、ファッション、自動車、ライフスタイルなど多岐にわたり、世界180カ国以上から建築家やインテリアデザイナー、バイヤー、観光客が集結。15世紀の修道院や貴族の邸宅といった歴史的建築が展示空間として活用されるのもイタリアならではで、街を歩くだけでまるで美術館の中にいるような感覚に包まれます。 今年は期間中、世界中から約30万人がミラノに集まったそうです。その中から、訪れたエキシビションの内容をお伝えします。 ミラノの"芸術の中心地"ブレラ Audi × Zaha Hadid Architects 105年の軌跡を織り上げる「Gucci Memorial」 グッチのアーティスティック・ディレクター、デムナによるキュレーションで構成された今回のエキシビション「Gucci Memorial-グッチメモリアル」は、105年にわたるブランドの歴史を象徴的に再構築し、多面的な進化とクリエイティブの軌跡を提示するもの。会場となったのは、ミラノ中心部に位置する歴史的建造物、サン・シンプリチャーノ大回廊(Piazza Paolo VI, 6)。長い列を待ち、入場できたその空間にはグッチの象徴であるフローラプリントがリアルに再現され、花々が咲き誇るボタニカルガーデンのような世界が広がっていました。その美しさは圧倒的で、ブランドの世界観を立体的に体験できる場となっていました。 また、エントランスにはオリジナルの自動販売機が設置され、入場コードをかざすとオリジナルドリンクが出てくる仕掛けもありました。こうした伝統と革新が同居する演出の幕開けから、時代を牽引してきたグッチのアイデンティティーが感じられました。 ブランドの105年の軌跡を紡ぐインスタレーションは、フィレンツェに古くから伝わるテキスタイル工芸をルーツとした12枚のタペストリーで構成されています。物語は、創業者グッチオ・グッチがロンドンのザ・サヴォイで過ごしていた時期を描いた、トラベルケースに手を添えている印象的なタペストリー「The Gift」から始まります。 歴代デザイナーの歩みを象徴的なシーンとして織り込んだタペストリーの数々には、ブランドへの敬意が感じられ、同時にデムナの視点による再解釈が静かに息づいています。伝統と革新が交差するその表現は、グッチというブランドの奥行きを改めて認識させるものでした。 ...