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『いつでもいま – ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展、代官山ヒルサイドで開催

『いつでもいま – ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展、代官山ヒルサイドで開催

写真家・映像作家の柿本ケンサクが、ガラス作家・三嶋りつ惠の作品を「光を描くためのレンズ」として撮影した新作「Hikari」シリーズを発表する。 『いつでもいま – ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展は、9月23日から10月4日まで、代官山ヒルサイドテラス・ヒルサイドフォーラムで開催。柿本氏にとって代官山は、写真家としての活動をスタートさせた場所でもある。2016年の『TRANSLATOR』、2021年の『TRANSFORMATION』に続き、今回で3度目の展示となる。 今回、柿本氏が対峙するのは「ガラス」だ。ヴェネツィアと京都を往復しながら制作を続けるガラス作家・三嶋りつ惠。ムラーノ島の職人技を受け継ぎながら、無色透明の中に光の輪郭だけを描き出す、あの独特の存在感を持つ作品群である。 柿本氏は三嶋氏のガラス10点を、レンズのように用いた。数ミリ単位でガラスの位置をずらし、角度を変え、通過する光を捕まえる。目の前の風景を「写す」のではなく、光そのもの、そして偶然と対話しながらシャッターを切る。だから写真には、その日の空気、季節の匂い、撮影者の身体の揺れまでもが、痕跡として刻み込まれることになる。 写真は光を固定する。ガラスは光を揺らす。 新作『Hikari』シリーズ ©Kensaku Kakimoto ©Kensaku Kakimoto ©Kensaku Kakimoto ガラスによって屈折し、揺らぎ、輪郭を変える光。そこには、風景そのものだけでなく、その場に流れる時間や季節の空気、身体の揺れ、ガラスの個体差までが痕跡として残る。 「固定」と「流動」、「定着」と「融解」。 異なる性質を持つ写真とガラスを重ねることで、柿本氏がこれまで向き合ってきた「時間」と「記憶」が、より感覚的な像として立ち上がる。 透明なガラスは、何もないように見えて、光を受け止めることで初めてその存在をあらわにする。そのガラスを通過した光を、今度は写真が固定する。揺らぐ光が一瞬だけ像になり、その像がまた見る人の記憶のなかで揺らぎ始める。タイトルの『いつでもいま』が示すのは、そんな一瞬と永続のあいだなのかもしれない。 三嶋りつ惠氏によるガラスレンズ作品「キンギョレンズ」 会場では「Hikari」シリーズの写真作品に加え、三嶋氏による「タマレンズ」「キンギョレンズ」などのガラスレンズ作品も展示。 会期中の10月3日には、柿本氏と三嶋氏によるトークイベントも予定されている。写真を通して光の一瞬を捉える柿本氏と、透明なガラスを通して光をかたちにしてきた三嶋氏。二人が語る「光」と「時間」は、聞き逃せない。 さらに南青山のLUMIX BASE TOKYOでは、同時期に連動展『いつでもいま』を開催。LUMIX L10で撮影された、ヒルサイドフォーラムとはまた異なる柿本氏の眼差しに出会える。ハシゴして訪れる価値は、十分にある。 _______________ INFORMATION 『いつでもいま – ガラスに映す光』柿本ケンサク写真展 会期:2026年9月23日(水・祝)- 10月4日(日)12:00 - 19:00 ※最終日11:00...
この秋、恋はナポリの港からやってくる。ロッシーニの洒脱な喜劇『イタリアのトルコ人』

この秋、恋はナポリの港からやってくる。ロッシーニの洒脱な喜劇『イタリアのトルコ人』

新国立劇場の新シーズンは、ロラン・ペリー演出『イタリアのトルコ人』から。 恋をしたい妻と、異国からやってきたプレイボーイ。振り回される夫に、忘れられない元恋人。まるで少し昔の恋愛映画のような人間模様を、ロッシーニは軽やかな音楽とユーモアで描いた。 新国立劇場の2026/2027シーズンを開くのは、ロッシーニのオペラ・ブッファ『イタリアのトルコ人』。『セビリアの理髪師』ほど広く知られてはいないけれど、恋の駆け引きと洒脱なアンサンブルに満ちた、知る人ぞ知る喜劇だ。  今回、とりわけ注目したいのがロラン・ペリーの演出。 19世紀のオペラが、20世紀のポップカルチャーへ  ©Javier del Real | Teatro Real 遊び心とスパイスの効いたセンスで、上演のたびに話題をさらってきた彼が今回選んだモチーフは、イタリア発祥の"フォトノベル"。1950年〜1970年にかけて人気を博した、写真と吹き出しで綴られるメロドラマ風の恋愛小説だ。 舞台では、結婚生活に退屈しロマンス小説に夢中になるヒロイン、フィオリッラの空想と現実が入り混じる。登場人物たちは二次元の物語へ入り込み、また現実へと戻ってくる。 19世紀に書かれたオペラが、20世紀のポップカルチャーを経由して、現代の舞台へ。そんな少し奇妙な時間旅行こそ、このプロダクションのおもしろさかもしれない。 演出・衣裳を手がけるロラン・ペリー、美術のシャンタル・トマによって、作品世界がどのような色彩とフォルムで立ち上がるのかにも注目したい。 恋のゲームは、ナポリから。 ©Javier del Real | Teatro Real 物語の舞台はナポリ。 物語の主人公フィオリッラは、夫ジェローニオとの単調な毎日にうんざりしている女性。そこへナポリの港に降り立つのが、プレイボーイのトルコ王子セリム。二人の視線が絡んだ瞬間から、堅物の夫ジェローニオ、セリムに未練を残す元恋人ザイダ、さらに彼女を慕うナルチーゾまで加わり、恋模様は見事なほどにもつれていく。 そして、その騒動を少し離れたところから眺めているのが、詩人プロスドーチモ。彼はこの騒動を「上出来な喜劇のネタ」とほくそ笑みながら、陰でそっと糸を引いていく。 恋愛喜劇でありながら、物語をつくることそのものを遊んでしまう。そんな知的ないたずらも、ロッシーニならではの魅力だ。 旬の歌い手たちが揃う、この上ない顔合わせ ヒロイン、フィオリッラを歌うのは、24/25シーズン《夢遊病の女》に彗星のごとく登場し、一夜にして評判をさらったソプラノ、クラウディア・ムスキオ。相手役のセリムには、パリ・オペラ座やロッシーニの聖地ペーザロで活躍する若手、アレハンドロ・バリニャス・ビエイテス。そして夫ジェローニオ役には、ブッフォ(喜劇的な役どころ)の世界的名手パオロ・ボルドーニャが名を連ねる。 指揮台に立つのは、イタリアの俊英アレッサンドロ・ボナート。「Forbes Italia」誌が選ぶ2025年「世界を変える30歳未満」にも名を連ね、今夏のロッシーニ・オペラ・フェスティバルでもみずみずしい音楽性で喝采を浴びたばかりの逸材だ。 軽快なリズム、華やかなアンサンブル、登場人物たちのすれ違いを彩るロッシーニの音楽を、どのように舞台上で躍動させるのかにも期待が高まる。 ©Javier del Real |...