はじめまして。【0円でできるブランド作り】
こんにちは。稲田元彦と申します。
東京でブランドビジネスコンサルティングの会社を営んでおります。
私は80年代から90年代初頭にかけて東京とNYでアートを学び、その後NYでファッションビジネスコンサルティングの仕事につきました。
以来今に至るまでずっとブランド作りに関する仕事を続けています。
このコラムでは私が学校と社会で学んだ「ブランド作り」の秘密を惜しみなく共有するつもりです。
これからの時代は、個々の人たちが輝きながら自由なフォーマットで仕事をする時代になる(と良いなー)と感じています。
そんな中で「自分のブランドを作りたい!」「自分自身をブランドとして発信したい!」などと考えている方々に、私が知っているブランド作りの秘密を役立ててもらいたいなと思ったからです。
アイデア次第で色々なモノをブランド化できる方法をシンプルにわかりやすく、できるだけ合理的にお伝えするつもりです。
事業規模を問わない、ユーザーや企業に優しい、世の中の役に立つ「本来のブランド作り」とは何か、どのようにすれば実現するのか、などについて何となく順を追って書いていくつもりです。お付き合いくださいませ。
まず最初は私の学んできたことについて自己紹介を兼ねてお話しします。
通っていた学校 School of Visual Arts, New York City. Image: Samuel Morgan.
私はNYでSchool of Visual Arts通称SVAという美術大学でFine Artsを専攻していました。
アートの勉強って一体なにをするの?なにを学ぶの?とよく聞かれました。
アートは自分の表現なんだから学ぶことなんか無いでしょ。と。
そう。そうなんです。確かにその部分についてあまり生徒が教えられる事はないのです。
ではなにを教えられなにを学ぶのか。
Abstract ExpressionismというNYがど真ん中のアートムーブメントがあります。そのアートは平たくいうと、自分の表現の可視化と言語化を通してオーディエンスに何らかの心の動きを体験してもらう、というものなのですが、特徴的なのは「言語化」という部分です。
もっと簡単にいうと、「さあどうでしょう。見て感じてください!」というプレゼンテーションではダメ、ということなのです。
例えば授業の大半は「制作と批評」、これの繰り返しがほとんどです。
制作した作品をクラスやゼミのメンバーに見せながらプレゼンをするのですが、その時に、この表現はこういう概念(アイデア)がもとになっている、それをこのような意図で表現に変換し、そのアウトプットはこういうことに意義がある、といったような言葉の表現を必ずします。
オーディエンスはそれを見聞きして、本当にそのように心が動いたのか、その言葉と可視化された表現は一貫しているのかなど、やはり言葉による「批評」をします。
この「概念の言語化」が大きなポイントで、アートについて私がSVAで学んだ大変重要なことの一つです。
働いていた会社 The Tobe Report, first published in 1927, is one of the world's most prestigious fashion merchandising consulting companies.
次に私が働いていた会社の話をします。
TOBE Reportは米国でもかなり古く長い歴史を持ったファッションコンサルティング会社でした。現在は一つのサービスとしてドネガーグループというコンサルティングファームの傘下にあります。
その会社で私はファッショントレンドの予想と可視化、言語化という仕事をしていました。顧客はファッションブランド達です。
つまりファッションブランドに、次のシーズンはこのようなトレンドが来て、このようなモノを作ると良いよというコンサルティングサービスをしていました。
具体的になにをしていたかというと、
ストリートやランウェイからの最新の情報
染料や繊維業界の事情
ファッション批評家の動向
クチコミ
などの持ちうる情報の全てをテーブルの上にあげ、傾向を見つけ、それを一度概念としていくつかのポイントにまとめ、改めて可視化、言語化する。
最終的には当時は「本」という媒体にして、クライアントに渡していました。
私はこれらの経験を通して、この「概念の可視化と言語化」がブランド作り、いわゆる「ブランディング」の一丁目一番地という一番大事な部分であることを学びました。
そして「0円で出来るブランド作り」もそれを話の中心にしていく予定です。アイデアだけでもブランドが輝く可能性をグッと高めることができます。
今回はここまでです。読んでくださりありがとうございました。
次回は「ブランディングとは」という最初の概念の話から始めたいと思います。