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季節のよろこびを知らせてくれる街角の花屋のように、新しい出会いと少し遠くの世界への想像力をもたらしてくれる。
そんな物語をお届けします。

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「ブランド」のお話

「ブランド」のお話

「ブランド」と聞くと、多くの人は有名な鞄や靴、洋服のロゴやシンボルを思い浮かべると思います。   このブランドという言葉、実は革に関するルーツがあるのです。   舞台は古代ヨーロッパ。 当時の農家では、自分の家畜、特に牛に焼き印を押して他の農園の家畜との区別をしていました。 この焼き印が「ブランド」という言葉の起源といわれています。 古英語の「brand」や「burned」に由来していて、元々はそのまま「焼く」なんて意味だったそうです。     また、ただ単純な区別のみでなく所有権や品質を示す重要な証でもあったわけです。 そうなると現代における「ブランド」の意味と随分近いように感じられますよね。 つまりルーツを辿ると、~牛というようなブランド牛の存在が本来の語源に一番近いという結論に至ります(?) ブランド!という感じのHermèsとかLouis Vuittonよりも松坂牛の方がよりオリジナルに近いということに… 話が逸れていくので、今回はここまで。 暑さが落ち着いてきて夜は随分涼しくなってきましたね。 お鍋で美味しいお肉が食べたくなりました。
トランク、あなたは一体?

トランク、あなたは一体?

なんとなく耳にすることはあれど、よく知らない or イメージがぼんやりしている物が世の中には存在します。 私の作っている「トランク」も間違いなくその部類なのではないかと。では本来トランクとは何かというと、”荷物を入れる蓋付きの木箱”です。(通常木は内側に使われている為、所謂木箱という見た目ではありませんが)   現代においては本来の意味よりも、別のことを指す意味で使われますね。旅行用のスーツケースや、車の荷物置きのスペースをトランクと呼びます。実はそれらがそう呼ばれている由来も、木箱のトランクのルーツが関わっているんです。 トランクの始まりは19世紀初頭のヨーロッパであるとされています。現代のように革が張られているものは上流階級向けに作られることが多かったとか。    (手作業でのトランク製作風景。今でも伝統として残る技術です。) 最初の頃は画像のように蓋が湾曲しているものが一般的で、これは当時の使用方法が起因しています。   (強度と美麗さを求めて、大量のビスが打たれているトランク) その頃の陸路の主な移動手段は馬車でした。そこでは通常、荷物は後部に置かれ雨ざらしになりました。画像のように蓋が湾曲しているのは、雨が溜まるのを防ぐために考えられた形状だったのです。既にお気付きの方もいるかもしれませんが、“トランクを置く場所”だった名残から、現代では車の荷物置きのことをトランクと呼んでいます。   蒸気船や機関車が増えてくると、今度は旅行を楽しむ上流階級層が増加しここでもトランクが活躍します。(他に選択肢はなかったのかもしれませんが)この時代にはトランク職人の他に、荷造り職人という職業も存在していました。その代表的な人物が、皆様ご存知のルイ・ヴィトンその人でした。彼の話に及ぶとそれはそれは長くなってしまうので、またの機会にお話したいと思います。     (一度の旅行で、数十~数百個のトランクを持ち出す人もいたそう) このようにトランクは、様々な旅に役立つ鞄として人々に重用されてきました。現代のスーツケースもまた同じ役割を持つ存在として、トランクと呼ぶようになったそうです。 現代において、すぐにピンと来ない「トランク」という響き。少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。私もルイ・ヴィトンに属するまで興味は薄かったのですが、実物に見て触れてその魅力・特徴に心奪われました。 皆様も街中で見かけることがあれば是非実際に触れてみてください。古のロマン漂う、なんとも言えない雰囲気が感じられますよ。