トランク、あなたは一体?
なんとなく耳にすることはあれど、よく知らない or イメージがぼんやりしている物が世の中には存在します。
私の作っている「トランク」も間違いなくその部類なのではないかと。
では本来トランクとは何かというと、”荷物を入れる蓋付きの木箱”です。(通常木は内側に使われている為、所謂木箱という見た目ではありませんが)
現代においては本来の意味よりも、別のことを指す意味で使われますね。
旅行用のスーツケースや、車の荷物置きのスペースをトランクと呼びます。
実はそれらがそう呼ばれている由来も、木箱のトランクのルーツが関わっているんです。
トランクの始まりは19世紀初頭のヨーロッパであるとされています。
現代のように革が張られているものは上流階級向けに作られることが多かったとか。
(手作業でのトランク製作風景。今でも伝統として残る技術です。)
最初の頃は画像のように蓋が湾曲しているものが一般的で、これは当時の使用方法が起因しています。
(強度と美麗さを求めて、大量のビスが打たれているトランク)
その頃の陸路の主な移動手段は馬車でした。
そこでは通常、荷物は後部に置かれ雨ざらしになりました。
画像のように蓋が湾曲しているのは、雨が溜まるのを防ぐために考えられた形状だったのです。
既にお気付きの方もいるかもしれませんが、
“トランクを置く場所”だった名残から、現代では車の荷物置きのことをトランクと呼んでいます。
蒸気船や機関車が増えてくると、今度は旅行を楽しむ上流階級層が増加し
ここでもトランクが活躍します。(他に選択肢はなかったのかもしれませんが)
この時代にはトランク職人の他に、荷造り職人という職業も存在していました。
その代表的な人物が、皆様ご存知のルイ・ヴィトンその人でした。
彼の話に及ぶとそれはそれは長くなってしまうので、またの機会にお話したいと思います。
(一度の旅行で、数十~数百個のトランクを持ち出す人もいたそう)
このようにトランクは、様々な旅に役立つ鞄として人々に重用されてきました。
現代のスーツケースもまた同じ役割を持つ存在として、トランクと呼ぶようになったそうです。
現代において、すぐにピンと来ない「トランク」という響き。
少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。
私もルイ・ヴィトンに属するまで興味は薄かったのですが、実物に見て触れてその魅力・特徴に心奪われました。
皆様も街中で見かけることがあれば是非実際に触れてみてください。
古のロマン漂う、なんとも言えない雰囲気が感じられますよ。
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